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蛋白質(たんぱくしつ)とは、プロテイン(protein)ともいい、L-アミノ酸が多数連結(重合)してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分のひとつである。学術用語としては、「蛋白質」という漢字表記は用いず、「タンパク質」と表記する。

連結したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドもしくはポリペプチドと呼ばれることが多いが、名称の使い分けを決める明確なアミノ酸の個数が決まっているわけではないようである。なお「蛋白質」の「蛋」とは卵のことを指し、卵白がタンパク質を主成分とすることによる。の故川島四郎が「蛋白質」では分かりにくいとして「卵白質」という語を使用したが、あまり流行らなかったようだ。

目次

構造

あるアミノ酸のカルボキシル基 (-COOH) がべつのアミノ酸のαアミノ基(-NH2)と脱水縮合して酸アミド結合 (-CO-NH-) を形成することでアミノ酸がポリマーとなりタンパク質を形成する。このタンパク質のアミノ酸の連結にみられる酸アミド結合をとくにペプチド結合とよぶ。このアミノ酸の配列をタンパク質の一次構造とよぶが、これは遺伝子 (DNA) の配列により決定される(3つの塩基配列により、1つのアミノ酸が指定される)。ペプチド結合してタンパク質の構成成分となった単位アミノ酸部分 (-NH-CH (-R) -CO-) をアミノ酸残基と呼ぶが、それぞれの R によってその性質が異なる。この残基の相互作用(水素結合)により、単なる直鎖であったペプチドが折りたたまれて(この畳み込みをフォールディングと呼ぶ)αヘリックス(螺旋)構造やβシート構造などの二次構造をとり、さらにはタンパク質全体としての三次構造をとることになる。なお、三次構造の中には二次構造の特定の組み合わせが見られ、このような単位を超二次構造と呼ぶ場合がある。また、三次構造の中でも、立体的に見てまとまった領域をドメインと呼ぶことがある。タンパク質の中には、複数(場合によっては複数種)のポリペプチド鎖がまとまって複合体を形成しているものがあり、このような関係を四次構造と呼ぶ。

  • 一次構造 アミノ酸配列
  • 二次構造 αヘリックス、βシート、ランダム構造
  • 三次構造 蛋白質全体の構造
  • 四次構造 多量体

二次以上の高次構造は、いずれも一次構造で決定されるアミノ酸配列を反映している。例えば Glu、Ala、Leu が連続するとαへリックス構造をとりやすい。Ile、Val、Metはβシート構造をとりやすい。また各構造の継ぎ目の鋭角なターンの部分には Gly、Pro、Asn が置かれる、などの例がある。さらに、疎水性アミノ酸残基同士は引き合い(疎水結合)、Cys 同士はジスルフィド結合を形成して高次構造を安定化させるなど。

生体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが、それが3つ連結したペプチドだけでも203=約8000通りの組み合わせがあり得る。タンパク質については、その種類は数千万種と言われる。生物の遺伝子(ゲノム)から作られるタンパク質の一そろいのセットは、プロテオームと呼ばれるが、ヒトゲノムの塩基配列解読が終わった今、プロテオームの解析(プロテオミクス)が盛んに進められている。

タンパク質の機能は上記の三次構造・四次構造(立体構造)によって決定される。これは、同じアミノ酸の配列からなるタンパク質でも、立体構造(畳まれ方)によって機能が変わるということである。たとえばBSEの原因となるプリオンは、正常なプリオンとは立体構造が違うだけである。なお、多くのタンパク質では、熱や圧力を加えたり、溶液の pH 値を変える、変性剤を加えるなどの操作により二次以上の高次構造が変化し、その機能(活性)を失う。これをタンパク質の変性という。変性した蛋白質においては、疎水結合、水素結合、イオン結合の多くが破壊され、全体にランダムな構造が増加したペプチド鎖の緩んだ状態になることが知られている。タンパク質の変性は、かつて不可逆な過程であると考えられてきたが、現在では多くの蛋白質において、変性は可逆的な過程である事が確認されている。なお、変性した蛋白質を元の高次構造に戻す操作を蛋白質の再生という。蛋白質の再生は、原理としては、畳み込まれたペプチド鎖を一旦完全にほどき、数時間かけてゆっくりと畳み込むよう条件を細かく調整・変化させることで行われている。

特定のアミノ酸配列に対して、存在しうる安定な高次構造が複数存在するにもかかわらず、生体内では特定の遺伝子から特定の機能を持つ高次構造をとったタンパク質が合成できるかは、必ずしも明らかではない。多くの蛋白質が、変性した後にもその高次構造の再生が可能なことから、一次構造それ自体が、高次構造のかなりの部分を決めていることは疑いがない。しかし、先の蛋白質の再生は数時間かかる操作(実際には、二次構造の畳み込みはかなり迅速に起こっていて、三次構造の確定に時間がかかるらしい)であるのに対し、生体内での蛋白質の合成は長くても数秒で完了することから、他にもタンパク質分子を高速に畳み込み、正しい高次構造へと導く因子の存在が考えられている。(例:タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、プロリンシストランスイソメラーゼ、分子シャペロン)

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なお、タンパク質は周囲の環境の変化によりその高次構造を変化させ、その機能を変えることができる。タンパク質である酵素は、その触媒する反応の速度を条件に応じて変化させることができる。

上記のようなタンパク質の高次構造は、X線結晶構造解析による直接決定およびタンパク質構造予測による理論的推定などによって解析され、立体構造と機能についての研究が進められているが、いずれ、ほしい機能にあわせてタンパク質の立体構造を設計し、合成できるようになるだろうと考えられている。

  • タンパク質の例: カゼイン、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、プリオン

これまでの研究により構造が解明されたタンパク質については、蛋白質構造データバンク(PDB)[1]によりデータの管理が行われており、研究者のみならず一般の人でもそのデータを自由に利用、閲覧できる。

物性

タンパク質の立体構造安定性は天然状態と変性状態の自由エネルギーの差ΔGd(変性自由エネルギー)で決まる.多くのタンパク質において,ΔGdは数〜数十 kcal/mol程度であり,非常に小さい.この性質はmarginal stabilityと呼ばれている.温度が変化すると,変性エンタルピーΔHdや変性エントロピーΔSdは急激に変化するが,それらの変化の大部分は相殺してΔGdに寄与しない.変性熱容量変化ΔCp,dは正の値を持ち,蛋白質内部のアミノ酸残基(疎水性アミノ酸が多い)の水和に伴う,水和水の熱容量変化が支配的であると考えられている.(ΔFdは変性状態と天然状態の物理量Fの差,FD ? FNを表す)

機能

タンパク質の生体における機能は多種多様であり、たとえば次のようなものがある。

  • 酵素:代謝などの化学反応を起こさせる触媒である。
  • 生体構造を形成するタンパク質:コラーゲン、ケラチンなど
  • 生体内の情報のやりとりに関与するタンパク質:タンパク質ホルモン、受容体や細胞内シグナル伝達に関わるものがある。酵素作用を持つものも多い。
  • 運動に関与するタンパク質:筋肉を構成するアクチン、ミオシンなど
  • 抗体:抗原に対し特異的に結合することで免疫に重要な役割を果たす。
  • 栄養の貯蔵・輸送に関与するタンパク質:卵、種子、乳(カゼイン)などに含まれそれ自体が栄養として用いられるものや、血液中で低分子の栄養分やホルモンを結合しているアルブミンなど。

これらのタンパク質が機能を発揮する上で最も重要な過程に、特異的な会合結合)がある。酵素および抗体はその基質および抗原を特異的に結合することにより機能を発揮する。また構造形成、運動や情報のやりとりもタンパク質分子同士の特異的会合なしには考えられない。この特異的会合は、基本的には二次〜四次構造の形成と同様の原理に基づき、対象分子との間に複数の疎水結合、水素結合、イオン結合が作られ安定化することで実現される。

組成

タンパク質は炭素、酸素、窒素、水素(重量比順)を必ず含む。どのようなアミノ酸から構成されているかによって、組成比は多少異なる。しかしながら、生体材料においては窒素の重量比が16%前後の値をとることが多いため、窒素量Nの6.3倍を粗蛋白量と定義する。

このほか、システイン、シスチン、必須アミノ酸であるメチオニンに由来する硫黄の組成比が高く、さらにリン酸の形でタンパク質に結合されているリンも多い。ジブロモチロシンに由来する臭素、ジヨードチロシン、トリヨードチロシン、チロキシンに由来するヨウ素がわずかに含まれることがある。ヘモグロビンや多くの酵素に含まれる鉄、銅や、一部の酸化還元酵素に含まれるセレン(セレノシステインの形をとる)などもある。

蛋白質の栄養価

タンパク質の栄養素としての価値は、それに含まれる必須アミノ酸の構成比率によって優劣がある。これを評価する基準としては、動物実験によって求める生物価とタンパク質正味利用率、化学的に、タンパク質を構成するアミノ酸の比率から算出するプロテインスコア、ケミカルスコア、アミノ酸スコアがある。 化学的に算定する後三者の方法は、算定方法に細かな違いがあるが、最終的には必須アミノ酸各々について標品における含量と標準とされる一覧とを比較し、その中で最も不足しているアミノ酸(これを第一制限アミノ酸という)について、標準との比率を百分率で示すもの。この際、数値のみだけでなく、必ず第一制限アミノ酸の種類を付記することになっている。

※『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用

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