胃の手術後に現れる様々な障害
胃は、食物を攪拌(かくはん)し、水やアルコールを吸収し、ビタミンB12の吸収を助け、強い酸で内容物を殺菌したり、食物の消化・吸収に重要な役割を果たしています。
胃を切除することにより、こうした働きが損なわれて引き起こされる様々な臓器欠損症状を、胃切除後症候群と総称しています。
かつては胃・十二指腸潰瘍の多くが切除手術の対症になっていましたが、今は薬物療法が優れた効果を上げるようになったため、大出血や穿孔(せんこう)、狭窄(きょうさく)があったり、再発・再燃を繰り返す場合以外は、手術が選択されることはなくなってきています。
胃の切除手術が行われるのは、主に胃がんの治療においてです。胃がんの治療では、切除手術が基本になります。早期のガンであれば内視鏡手術で病巣のみを切除することが可能なケースもありますが、それ以外は従来どおり開腹手術が行われます。
胃の切除手術は、胃全体を切り取ってしまう全摘と胃の一部を切除する部分切除に分けられます。切除に続いて残胃と空腸もしくは食道と空腸を吻合するなどの再建術が必ず施されますが、部分切除によって胃の働きが低下したり、あるいは全摘によって胃の働きが全く機能しなくなってしまうために、程度の差こそあれ、何らかの臓器欠損症状が現れるのは避けられません。
胃切除後症候群のなかには、手術直後から現れるものもあれば、数ヶ月あるいは何年かたって起きる症状もあります。
種類と症状
予防・日常生活の注意点
自分のからだの状態を把握する
胃切除後症候群は適切な治療によって、ある程度軽減させることが出来ますが、
大きな鍵を握るのは、患者本人の術後管理です。例えば、ダンピング症候群が起こる
メカニズムははっきりしているので、対策を立てるのは、十分可能です。
問題は、本人がそれをきちんと実行できるかどうかです。
切除前のからだの状態、切除方法、そして術後の回復度によって、症状の現れ方は
個人差がでます。自分にはいつどうような症状がでやすいのか、何を食べた時、何を飲んだ時に
起こるのかきちんと把握し、それに合わせた食習慣をつくることが大切です。
ダンピング症候群は精神的な要素も大きく、自律神経とのかかわりも深いために、
精神面でのコントロールがとても重要になります。胃切除後症候群では、各自に合った
対処法を工夫することが症状を軽減させるための大きなポイントです。
逆流性食道炎の場合、就寝のときはあおむけで寝るようにして、上体を10〜15°くらい
高くすると逆流が起こりにくくなります。前かがみの姿勢を長時間続けないこと、
ベルトを強く締めないこと、咳を予防すること、食後2時間以上たってから就寝することなどが
再発防止のために大切です。
また、刺激の強い食べ物、熱い物、冷たい物は避けるようにしましょう。
急いで食べてつかえたときは、胸をはって、大きく腹式呼吸をしながら様子を見るか、
無理をせずに吐いてしまいます。水分で流し込むのは逆効果で、かえって腸の収縮を
強めてしまうので注意しましょう。逆流やつかえが改善されれば、胸やけも解消されるはずです。
胃切除後症候群全体についていえることですが、食べ物は十分に噛むようにします。
歯を丈夫に保ち、胃の代わりに口でしっかり攪拌(かくはん)するつもりで、一口50回を目標に、
少しずつゆっくりと食べましょう。十分噛むことは、下痢の予防にもなります。
暴飲暴食は厳禁です。1回の食事量については、自分の適量を把握しましょう。
食べ過ぎないように、常に腹6〜7分目を目安にします。
からだに取り入れるエネルギーと消費するエネルギーのバランスをとり、ウォーキングなど
適度な有酸素運動を続けて骨量と筋肉量を増やし、体重の増加を図ることも大切です。
症状は必ず現れるものと自覚する。
特に胃がんの手術の場合、精神的ダメージも相当大きいはずです。術後も何となく違和感が
ついてまわり、しばしば不定愁訴として現れます。だるさや脱力感は、心身的な症状として
現れることもあります。
ガンという病気、そして胃の切除という事態を受容して、心身を日常生活に適応させていく
努力が欠かせません。
胃の切除手術を受けた以上、胃切除後症候群を回避するのは難しいことです。
何らかの症状は必ず現れるものだと自覚して、1日も早く、自分なりの対処法をみつけるように
しましょう。
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